2008年11月03日

◆ マイ・マップの重大問題

 Google のマイマップには、大問題があることが判明した。これは基本的には「個人情報暴露ツール」となっている。たとえば、あなたの住所氏名がネット上に公開されている可能性は、いくらかある。

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       ( ※ 本項の実際の公開日は 11月04日です。)


 前項(マイ・マップの悪用)では、次の記事を引用した。
 地図を作る場合、最初のプライバシー設定が「公開」になっているため、「非公開」を選ばないと自分用の地図が公開されてしまう。
 実は、これは不正確であることが判明した。
 この記事を読む限り、普通の人は、自分の住所氏名が公開されることはない、と思うだろう。しかし、そんなことはない。私が調べたところ、未知の他人の住所氏名を、大量に見出すことができた。

 これはどうしてかというと、マイマップの作製者が、「自分の住所氏名」だけでなく、「友人の住所氏名」をも公開してしまうからだ。
 たとえば、以下は架空だが、次のような友人がいるとしよう。

  ・ 山田太郎
  ・ 鈴木花子
  ・ 田中大介


 このような友人の氏名とともにその住所をマイマップ上に登録している素人が大量にいる。そのせいで、「友人の住所氏名」という形で、友人たち自身は知らないうちに、自分の住所氏名が公開されてしまうのだ。

 この場合、マイマップを作成した素人は、自分の住所氏名を登録していないことがある。とすれば、面倒だと思って、あえて「公開から非公開にしよう」とは思わないかもしれない。「どうせおれの住所が公開されるわけじゃないし。さらし者になるのは他人だけさ」と。

 ──

 しかも、である。「公開」に設定していた場合には、これらの住所氏名を一括して大量に見出す方法がある。(それはここには記さない。やばいので。ま、そんなに難しくはない。)
 そして、そういう方法を知ったあとで、面白がって覗き見する人は、きっとたくさん存在するはずだ。

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 ここまで見ると、グーグルの問題が判明する。
 このサービスを「マイマップ」と呼んで、「ユーザーが自分の個人用途のためにご利用下さい」という方針を立てたことが、根本的に狂っていることになる。
 Google のサイト には、次のような記述がある。
 「次のようなさまざまな方法で地図を共有できます。
  メール …… ページ右上の [メール] をクリックして、目的の地図へのリンク (URL) を記述したメールを作成します。
  リンクをメールに貼り付け …… 地図へのリンクを共有して、それをウェブ サイトに置いたり、他の人に知らせたりできます。」


 これは間違った記述だ。
 これを読むと、「メールで情報を共有した人だけが、その情報を知るる」と思うだろう。それが常識だ。しかし、実際には違う。

 では、正しくは? 次のようになる。
 「《 非公開 》を選択した場合には、上記のようになります。
  一方、《 公開 》を選択した場合には、その情報は、社会全体に公開されます。単に仲間内で共有されるだけでなく、ネットを通じて世界中にその情報が公開されます。」


 たとえば、あなたの友人があなたの住所氏名を登録して、その設定を「公開」にすれば、あなたの名前を検索することで、誰もがあなたの住所を知ることができるようになる。

 これは杞憂ではない。その実例が(次項の)「石原慎太郎」だ。どこかの誰かが、「石原慎太郎の家」というのを、登録してしまった。そのせいで、石原慎太郎は、自分の住所を公衆の目にさらされることになった。

 麻生太郎も同様だ。この登録は、Google がなしたのではなく、どこかのおせっかいな人がやったのだ。

 同様に、どこかのおせっかいな人は、あなたの住所を登録することもできる。(いや、すでに登録済みかもしれない。念のため、あなたの名前を検索してみるといい。すでに世界中に公開されているかもしれませんよ。  (^^); )

 そして、あなたの住所が公開されたなら、ストリートビューによって、その自宅風景も公開されることになる。

 ──

 こうして見ると、Google のマイ・マップという概念そのものが根源的に狂っている、とわかる。
 これは個人的に便利なツールではない。社会全体で情報を共有するためのツールだ。少なくとも、「公開」に設定している限りはそうだ。

 また、「非公開」にしていてさえ、URL が公開されてしまえば、同様の結果になる。実際、すでに「非公開」にしているサイトを通じて、友人の住所氏名が漏れてしまっている。

 とにかく、この問題は、マイ・マップというものの概念を根本的に作り替えるしかない。その点を、強く喚起しておく。

 ──
  【 注記 】 
 なお、この件は、あとで修正されたようだ。「非公開」に設定したマイマップは、URL を入れても見えなくなっているようだ。
 ……といったん書いたのだが、これは誤りだったようだ。正しくはどうかは、前項の 【 追記2 】 に記したので、そちらを参照。
 ともあれ、「公開」に設定されているマイマップの問題は、それとは別個に存在する。本項で述べたとおり。



 [ 付記 ]
 実を言うと、ここには書かなかった問題が、もう一つある。
 ただし、それを書くと、何人かの個人の情報がバラされてしまうので、問題を指摘しない。それを解決するには、やはり、マイマップというサービスそのものを根本的に作り替える必要がある。(それまでは問題点を公開する気はない。)

 対処は、次の二つ。
 (1) マイマップは、「非公開」を原則として、暗証番号によるログインを義務づける。
 (2) それ以外は、「ソーシャルマップ」と称して、「公開」を原則とする。ただしそこでは、個人情報の暴露を禁止する。もしやらかしたならば、アカウントを削除する。


 ※ 後者を実行した場合、Google のストリートサービスそのものが許されないので、Google という会社そのものが排除されることになりますね。  (^^); 

 ──

 なお、現状は、初期設定が「公開」なのだから、現状は「ソーシャルマップ」であることになる。
 にもかかわらず、「マイ・マップ」と称して、個人用途向けの機能だと宣伝している。これは、比喩的に言えば、「ワープロを渡します」と称して、表計算ソフトを渡すようなものだ。「嘘つき」ないし「詐欺」同然である。犯罪的。
(……ちょっと言葉がきついかな? しかし被害者にとってはまさしく犯罪被害と同じような目に遭っている。その重大性に気づくべきだ。)



  【 追記1 】
 グーグルは釈明のつもりだろうが、
 「原則として誰にも見られたくない地図はここでは作成しないことをお勧めします」
 とヘルプページに記載している。
 しかし、それで済むと思ったら、とんでもない間違いだ。そのことは本項からわかる。
 「自分が見られたくない情報」を作成しなければいいのではない。「他人(知人)が見られたくない情報」を作成してはいけないのだ。

  ・ 自分にとっての損得が大事なのではなく、他人にとっての損得が大事である。
  ・ 自分にとっての意思の問題ではなく、社会における善悪の問題である。

 
 「やりたいかやりたくないか」が問題なのではない。「やっていいかいけないか」が問題なのだ。つまり、これは、サービスを利用するか否かの問題ではなく、犯罪をやるか否かの問題なのだ。
 こういうことが Google にはわからないようだ。自分自身が犯罪をやりっ放しのせいだろうが。

 《 余談 》
 このことは、現代社会の人々もまた、たいていは理解していないようだ。情報というものを、便利か否かという点でのみ考えて、悪をなすか否かという点で考えない。……そのあげく、ウィルスやスパムにさんざん悩まされている。しかも、それを制御することができずにいる。
 これは現代社会の問題だ、とすら言える。現代人は情報を操作しているつもりだが、情報に操作されてしまっているのだ。しかも、そのことに、気づかない。

 人類はいわば、手榴弾を与えられて いじくり回している、猿のようなものだ。「おお、素敵なオモチャだな」と喜ぶばかり。それが何を意味するかも知らないまま。

 ──

  【 追記2 】
 なお、ダメな例を具体的に示す。次の記事だ。
 Googleはヘルプのページで「原則として、誰にも見られたくない地図はここで作成しないことをお勧めします」と、注意を促している。ただ、この周知がユーザーに行き届いていない上に、ネットリテラシーの低いユーザーが確認を怠って利用したことで、情報漏洩を自ら引き起こしてしまった。
( → narinari.com
 これを書いた人は、少なくとも素人ではないようだ。しかしながら、
  「ネットリテラシーの低いユーザーが確認を怠って」
 という記述は、正しくない。この問題を引き起こしたのは、「ネットリテラシーの低いユーザー」ではなく、「ネットリテラシーの低い Google 」であるからだ。
 ユーザーの方は、特に間違ったことをしているわけではない。「公開・非公開を、自分の好き嫌いで決めて下さい」という Google の方針に従って、勝手に公開しているだけだ。たとえば、石原慎太郎の自宅を勝手に公開する人がいる。 
 一方、Google は、間違ったことをしている。「公開・非公開を、自分の好き嫌いで決めて下さい」という趣旨の記述をしている。本当は、「他人の個人情報を記載した際は、公開にしてはいけません。それは犯罪です」と記述するべきなのだが。また、単に記述すればいいのではなく、初期設定では「非公開」にするべきなのだが。

 「ネットリテラシーの低い」のは、一般人ではなく、Google だ。さらにまた、そのことに気づかないで、「一般人が Google の言うとおりにしないから問題が起こる」というふうに記述するような連中(上記のサイトやマスコミの大部分)もまた、ネットリテラシーが低い。彼らには「ネット上では個人情報を公開してはならない」ということが、わかっていないようだ。また、「自分の個人情報を公開してはいけない」ということばかりにとらわれて、「他人の個人情報を公開してはいけない」ということを理解していない。
 この問題は、Google の問題だけではないのだ。社会一般のネットリテラシーの問題なのだ。



  【 後日記 】 ( 2008-11-07 )
 本件(他人の情報の秘匿)については、高木浩光氏もよく理解できていないようだ。
 「秘密にしなければならない情報を利用者が誤って登録していた事故が立て続けに発覚しており」
( → 該当ページ
 と彼は記述しているが、この件は「誤りによる事故」とは言えない。そんななまやさしい問題じゃない。では何かと言えば、「Google のミスリードによる必然的な情報暴露」である。
 なるほど、自分の情報ならば、「公開するつもりもないのに公開してしまった」ということもあるだろう。それならば「誤りによる事故」と言えなくもない。しかし、他人の情報ならば、「公開することが悪いとは意識しないまま公開してしまった」というのが普通だ。
 とすれば、Google は最初に、「他人の個人情報は公開してはいけません。注意して下さい」と警告しておくべきだったのだ。ところが、あろうことか、その逆のことを推進している。
 「どんどん情報を登録しましょう。そして公開しましょう」
 というふうに。

 とにかく、ユーザーは「誤って」登録したのではない。
  ・ 「初期設定では個人情報が公開になる」と告知されていなかった。
  ・ 初期設定が公開だから、「何もしないでいると」そうなってしまう。
   (何かボタンを押し間違えたわけではない。何もしなかっただけ。)

 こういうのを「ユーザーが誤ったせい」というふうに書くのは、ユーザーに対してあまりにも酷すぎる。
 そう言えば、ケータイ会社も、同じことをやっていた。読めないような小さな文字を大量に書いておいて、その契約書に判を押させた。こういう手口でユーザーを引っかけるのは、「詐欺」である。詐欺に引っかかった人に対して、「だまされた方が悪い」と非難するのは、とんでもないことだ。「詐欺は犯罪だから、詐欺師が悪い」と批判するのが常識だろう。

 結局、Google であれ、高木氏であれ、「個人情報の秘匿」という点について、あまりにも意識が稀薄なのである。「プライバシー情報を暴露してはいけない」という発想が、根本的に欠落しているのだろう。だから、Google であれ、高木氏であれ、私が何度も警告しても、「個人情報を秘匿する」という方針をちっとも打ち出していない。ほったらかし。
 Google であれ、高木氏であれ、ネットリテラシーが低すぎる。なるほど、彼らは技術面では、私よりもはるかに高い位置にある。しかし、情報についての倫理観が、(私でなくて)普通の人のレベルに比べても、はるかに劣るようだ。何度指摘されても、ちっとも理解できないのだから。
 どうにか ならないんでしょうかね? 

( ※ なお、高木氏のサイトでは、「残骸が残っている」ということを話題にしているが、こんなことはどうってことはない。あまりにも頻度が低いし、大騒ぎするようなことじゃない。それより、他人の情報という形で個人情報が大幅に公開されているということの方が、よほど大問題だ。また、自分の情報も、知らず知らず公開されている点がある。(詳しくは記さないが。)……とにかく、「個人情報は一切、削除する」という方針を出すことが大事だ。Google がバグを直せばいい、というような些末な問題じゃない。マイマップの方針そのものを根本的に作り替えることが必要なのだ。)
( ※ とにかく、根源的には、「あとで削除できればいい」という問題ではなくて、最初から「個人情報は一切登録してはならない」のである。そして、どうしても個人情報を登録したいのであれば、そのためのシステムを構築するべきなのだ。つまり、暗証番号によるログインを要求するシステムに。……なのに、「公開」かつ「個人情報の登録」というのを併用しているマイ・マップは、根本的に間違ったシステムなのである。バグを直せばいい、というものではない。)


 [ 補足 ]
 高木氏の記述について誤読される恐れがあるので、注記しておこう。
 私は別に「高木氏は犯罪的だ」とか「Google の同類だ」とか述べて批判しているわけではない。(ちょっと皮肉った面はあるが。……済みません。)
 私が高木氏について述べたことは、
 「正義の味方として高いハードルをクリアしていない」

 ということだ。比喩的に言えば、
 「優秀な警官は、大泥棒を逮捕するべきなのに、大泥棒を逮捕していない」(かわりに目先の駐車違反ばかりを摘発している)

 ということだ。
 なるほど、目先の駐車違反ばかりを摘発していることは、別に、悪いことじゃない。ミニパトのお姉ちゃんならば、褒めるべきことだろう。
 しかし、才能のある優秀な警官ならば、もっと高いハードルが課せられる。駐車違反ぐらいじゃ困るのだ。
 要するに、批判ではなく、叱咤激励である。間違えないようにしてほしい。能力を買っているからこそ、叱咤激励するのだ。無能な相手には、そういうことは言いません。

( ※ しかし、オタクばかりがいる現代では、叱咤激励の言葉を聞くと、「よくも非難しやがって」と勘違いする人が多すぎる。……困ったことだ。そこで、こんな文章解説を書くハメになる。  (^^); )




 【 関連項目 】
 本項については、さらに踏み込んだ話をする。次々項参照。
   → 次々項

 ※ 必ず お読み下さい。
posted by 管理人 at 23:24 | Comment(0) | Google
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